日本臨床細胞学会雑誌
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濾胞性リンパ腫Grade 1と反応性濾胞過形成との鑑別に関する検討
パパニコロウ染色, bcl-2蛋白での比較を中心に
岸本 浩次北村 隆司鈴木 孝夫増永 敦子楯 玄秀光谷 俊幸
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2005 年 44 巻 3 号 p. 118-123

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抄録

目的:パパニコロウ (Pap.) 染色標本での濾胞性リンパ腫 (FL) Grade 1と反応性濾胞過形成 (反応性) との形態学的鑑別点について, および両者の鑑別に際してのbcl-2蛋白の有用性を検討した.
方法:対象は反応性, 10例, FLGrade 1, 20例を用い, 対物40倍のスクリーニング所見, 対物100倍の同定所見, bcl-2蛋白の陽性率を算出した.
結果: スクリーニング所見の検討では, 反応性に比べFL Gradelでは, 1) 2核様くびれ細胞の出現率が高率である. 2) tingible body macrophageはないか, ごくわずかである. 同定所見の検討では, 1) FL Grade 1の約半数が反応性に類似した各種細胞出現率を示した. 2) 1μm以上の核小体保有率, くびれ細胞保有率, bcl-2蛋白の陽性率がFL Grade 1で高値であった.
結論:比較的鑑別が難しい反応性とFL Grade 1のPap.染色標本による鑑別に際しては, 対物40倍レンズにて観察可能な2核様くびれ細胞の出現数, あるいは小型リンパ球の核小体保有率などの所見に着目して判定することが有用であった.

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