日本臨床細胞学会雑誌
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子宮外原発低悪性度子宮内膜間質肉腫の1例
小倉 加奈子石 和久中村 博岡崎 哲也古谷津 純一鈴木 不二彦野島 美知夫熊坂 利夫
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2005 年 44 巻 3 号 p. 149-152

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抄録

背景:子宮外原発低悪性度子宮内膜間質肉腫 (Extrauterine low-grade endometrial stromal sarcoma) はきわめてまれな腫瘍であり, 本邦において細胞学的報告はない.
症例:45歳. 2経妊1経産. 月経時の増強する腹痛, 腹部膨満感があり, 血性腹水の貯留を認めた. MRI検査において卵巣腫瘍が疑われたため, 開腹術を施行した. 両側卵巣とは別にその周囲に径8cm大と径4.5cm大の黄白色, 充実性の軟らかい腫瘍が認められ, また一部, 横行結腸と小腸の漿膜側にも同様の形態を示す小結節を認めた. 単純子宮全摘術, 両側付属器切除術に加え, 結腸および小腸部分切除術が施行された. 腫瘍からの捺印細胞診では, 細胞質の少ない小円形細胞がclusterを形成し, あるいは散在性に認められた. 核はクロマチンが細顆粒状で濃染するも核の大小不同は目立たず, 核分裂像もほとんどみられなかった. またER, PR染色が陽性であった. 病理組織学的に腫瘤形成部は, 増殖期子宮内膜の間質細胞に類似した細胞が充実性に増殖し, 核の大小不同が軽度みられたが, 核分裂像はほとんどなかった. また, 細胞診と同様にER, PR染色が陽性であった.
結語:腹腔内に充実性に増殖する子宮外原発低悪性度子宮内膜間質肉腫を報告し, 細胞像/組織像より鑑別すべき疾患群について言及した.

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