日本臨床細胞学会雑誌
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尿細胞診の検体処理方法の検討
大崎 博之中村 宗夫長町 健一荻野 哲朗
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2005 年 44 巻 4 号 p. 215-218

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抄録

目的:特別な機材を使用せずに, 集細胞率にすぐれた尿細胞診の検体処理方法を明らかにする.
方法:尿路上皮癌G2・G3の38例 (80検体) を対象とした.(1) 浸漬法,(2) スプレー法,(3) 2回遠沈変法 (通常の2回遠沈法に後固定を加えたもの), 以上3種類の方法で処理したPapanicolaou染色標本を用いて, 集細胞率 (癌細胞数) について比較検討した. 検体はすべて自然尿を用いた. 集細胞率は, 癌細胞を認めない (-), 癌細胞が1~10個 (1+), 11~50個 (2+), 51~200個 (3+), 201個以上 (4+) の5段階に分類し評価した.
成績:癌細胞数は,(1) 浸漬法で,(-) 16例 (20.0%),(1+) 19例,(2+) 16例,(3+) 10例,(4+) 19例,(2) スプレー法で,(-) 6例 (7.5%),(1+) 13例,(2+) 20例,(3+) 15例,(4+) 26例,(3) 2回遠沈変法で,(-) 1例 (1.3%),(1+) 15例,(2+) 22例,(3+) 11例,(4+) 31例であった.
結論:今回検討した3種類の検体処理方法では, 2回遠沈変法が最も高い集細胞率を示した. 一方, 浸漬法の集細胞率は最も低く, 浸漬法単独での検体処理は避けるべきと考える.

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