日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸癌検診連続受診者からの発見病変
採取器具の比較
赤松 節姫路 由香里長澤 優子山田 美弥子板垣 由香里筑後 千得子丸岡 央児玉 省二
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2006 年 45 巻 2 号 p. 91-95

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抄録

目的:子宮頸がん検診受診歴による発見病変について, 細胞採取器具の綿棒とCervexブラシ (以下ブラシ) の比較を検討した.
対象: 1999年から2004年までの間, 当施設で行った検診受診者2万6344人を対象とした.
方法:綿棒採取とブラシ採取によるそれぞれの2年および3年連続受診者 (以下2年連続, 3年連続) と1年おき受診者 (以下隔年) の要精検率および精検で発見された病変を比較検討した.
成績:綿棒採取では, 2年連続の要精検者は32人 (0.62%) で発見病変は, 軽度異形成 (以下軽度) 4人中等度異形成 (以下中等度) 5人, 上皮内がん (以下CIS) 2人であった. 3年連続の要精検者は23人 (0.24%), 発見病変は軽度2人, 中等度2人, CIS2人, 浸潤がん1人であった. 隔年の要精検者は8人 (0.38%), 発見病変は軽度3人であった. ブラシ採取では, 2年連続の要精検者は24人 (0.61%), 発見病変は軽度4人, 中等度3人, 高度異形成1人CIS2人であった. 3年連続の要精検者は4人 (0.09%) で軽度1人が発見された. 隔年の要精検者は3人 (0.33%) で軽度1人が発見された. 要精検率はいずれの器具とも2年連続は3年連続に対し有意に高率であったが, 隔年では有意差はなかった. 採取器具比較では3年連続の要精検率で綿棒がブラシに有意に高率であった. 発見病変では, 綿棒からは2年連続と3年連続に差はなかったが, ブラシでは3年連続からは軽度異形成のみであった.
結論:隔年検診を実施する場合は2年以上連続受診歴があり, 採取器具をブラシに限定することが望ましい.

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