日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺および頸部リンパ節における超音波ガイド下非吸引穿刺細胞診
山田 裕子越川 卓菅沼 良規長谷川 泰久
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2006 年 45 巻 2 号 p. 84-90

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抄録

目的:甲状腺および頸部リンパ節の非吸引穿刺細胞診 (NAC) について検体の評価と診断率を検討した.
方法:検討は過去5年間に超音波ガイド下に非吸引穿刺細胞診を施行した1044例 (甲状腺928例, リンパ節116例) について行った. 最終的に病理組織を確認できた176例 (甲状腺145例, リンパ節31例) と長期観察されたリンパ節病変の76例は細胞診の診断率, 偽陽性率, 偽陰性率, さらに細胞診の推定診断と病理診断との関係について検討した.
成績:検体の適正については甲状腺症例の6例 (0.7%), リンパ節の12例 (10.3%), 全体で1.7%が検体不適正と評価された. 甲状腺細胞診の正診率, 感度, 特異度は89.5%, 85.0%, 95.6%, リンパ節は98.1%, 96.6%, 98.7%であった.細胞診の推定診断と病理診断の一致率は甲状腺とリンパ節でそれぞれ72.4%, 93.9%であった.
結論:通常の穿刺吸引細胞診 (FNA) と比較して, 超音波ガイド下で行うNACは甲状腺とリンパ節において検体採取と診断率の両者からみて優れた検査方法であるといえる.

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