2000 年 14 巻 1 号 p. 53-59
要 旨
外来で乳癌術後の補助化学療法を受ける患者が必要としている看護を明らかにする事を目的に調査を行った.大学病院の外来で治療を受けている患者5名に対し,半構成的面接法でのインタビューを計17回施行した.その結果,化学療法そのものではなく,現在に至るまでの気持ちの変化についての内容が多く聞かれた.対象者が語った内容を分類した結果,気持ちの変化とそれに伴った対処行動に大別でき,さらにそこに関与していたサポーターの存在が明らかになった.診断前から退院後までに現れた気持ちは25通りで,不安の内容は時間の経過と共に変化し,不安の強い時期は入院前と退院後外来受診までであった.対処行動では,感情を表出することで問題に取り組めているという事が明らかになり,気持ちと対処行動は補完的に働いていた.患者は抱える不安を表現し確認したいと考えており,不安な気持ちを受け止め,保証してくれる人を求めていることが明らかになった.外来看護において,患者の話を聞くという事の重要性が再認識できた.