日本がん看護学会誌
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原著
患者による乳房切除術か乳房温存術かの選択に影響を及ぼす要因に関する研究
国府 浩子井上 智子
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2002 年 16 巻 2 号 p. 46-55

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抄録

要 旨

本研究は,乳がん患者の術式選択に影響を及ぼす要因を明らかにし,乳がん患者のよりよい術式選択への看護支援を検討することを目的とした.乳がんのⅠまたはⅡ期と診断され,医師から術式選択を任された患者18名を対象として,半構成的面接調査と参加観察を実施し,得られたデータを分析した.

その結果,乳房温存術に傾く要因は,入院前後を通して「温存可能な状況」「治療成績」「乳房に対する価値観」が多く,乳房切除術に傾く要因は,入院前後を通した「乳房温存術の欠点」「がんの不確かさ」,入院後にみられる「入院後の周囲の勧めや体験」が多かった.これらの要因は,『がんの不確かさ』『治療方法の変化と治療成績に関すること』『乳房温存術の適応に関すること』『術式の利点・欠点に関すること』『周囲の人の勧めや体験』『あいまいな情報』『個人特性』の7つにまとめられた.

以上の結果より,乳がん患者の術式選択を促進するための看護支援として,①段階をおった情報提供により患者の理解を助ける,②術後の予期的悲嘆に対する情緒的支援,③乳房に対する価値観・人生観の明確化への支援が示唆された.

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2002 一般社団法人 日本がん看護学会
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