日本がん看護学会誌
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研究報告
訪問看護師の抗がん剤による職業性曝露の健康影響の認知と曝露防止策の実施状況
杉山 令子佐々木 真紀子長谷部 真木子長岡 真希子菊地 由紀子工藤 由紀子石井 範子
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2011 年 25 巻 3 号 p. 12-20

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抄録

要 旨

訪問看護師の,抗がん剤による職業性曝露の健康影響の認知と,曝露防止策の実施状況を明らかにすることを目的に,郵送法で質問紙調査を行った.全国の訪問看護ステーション1,045施設の訪問看護師,各1名を対象とし,抗がん剤の職業性曝露による健康影響の認知,がん化学療法中の患者への訪問看護の経験,曝露防止策について調査した.385施設から回答が得られた(回収率37%).曝露による健康影響を認知している者は31%,がん化学療法中の患者の訪問看護の経験者は20%(75名)であった.訪問の経験があっても61%は健康影響を認知していなかった.がん化学療法中の患者の訪問看護の内容は抗がん剤点滴の抜針や,患者の排泄物の処理など曝露の危険性のある行為も含まれていた.しかし,がん化学療法中の患者の訪問看護の経験がある75名中,何らかの曝露防止策を講じていたのは20%(15名)で,患者や家族へ曝露防止策についての説明をしていたのは12%(9名)であった.健康影響の認知と防止策,患者と家族への説明の有無には関連があり,認知している者のほうが防止策や説明をしている割合が高かった.外来がん化学療法を受ける患者は年々増加し,訪問看護でも,このような患者へのかかわりは増えると予測される.したがって,訪問看護師も抗がん剤取り扱いによる曝露の影響を十分に認知し,曝露防止策を講じ,さらに患者・家族への指導ができるよう教育の促進やマニュアルの整備が必要と考えられた.

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2011 一般社団法人 日本がん看護学会
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