要 旨
がん医療の現場で働く看護師が,自律性をもって援助を提供するということは,「がん看護の専門性」を自覚し看護を実践するということであり,この自律性はがん看護の質の向上に欠かせない要素であるとの考えのもとに本研究を行った.本研究は,がん専門病院に勤務する看護師を対象に,自律性に対する看護師の自己評価の内容とその評価に関連する要因について,質問紙調査を行い,①自律性に対する自己評価の現状,②その自己評価に関連する要因の特徴,および③自律性に対する自己評価と関連要因との関連について明らかにすることを目的に行われた.調査に返答したのは,がん専門病院の看護師104名(回収率は34.67%)であった.
自律性のある看護活動に対する看護師の自己評価得点および自己効力感の得点については,既存の研究報告と類似した値が得られた.自律性のある看護活動に対する自己評価得点との間に関係を示す変数は複数あった.重回帰分析の結果より,自律性のある看護活動に影響していたのは,看護師経験年数と特性的自己効力感であった.
自律性とその関連要因との関係を示す結果は,自律性のある看護活動に寄与する看護師のありかたについていくつかの示唆を与えてくれた.
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