日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
研究報告
乳がん患者の診断から初回治療終了までの配偶者の認識と対処行動
菅原 よしえ森 一恵
著者情報
キーワード: 乳がん, 配偶者, 認識, 対処行動
ジャーナル フリー

2012 年 26 巻 3 号 p. 34-43

詳細
抄録

要 旨

本研究の目的は乳がん患者の診断から初回治療終了までの配偶者の認識と対処行動を明らかにすることである.研究方法は,乳がんの診断を受け初回治療終了までの患者の配偶者6名を対象に半構成的な質問による面接法を用いて行った.分析方法は,面接内容から逐語録を作成し,妻の乳がん診断から初回治療終了までの配偶者の認識と対処行動について内容分析を行った.研究者の所属施設の倫理委員会の承認を得て行った.分析の結果,乳がん患者の診断から初回治療終了までの配偶者の認識として≪乳がんの診断は思いがけないショックな出来事≫≪乳がんは,病状が初期で治療可能ならば深刻に考えない≫≪乳がんは再発や転移が心配であり,医師による専門的な治療が必要である≫≪妻が元気かどうかにより夫の気持ちに影響する≫≪乳がんによる女性特有のことについて夫は話しにくい≫など8カテゴリーが抽出された.対処行動として,≪病気に関する情報収集をする≫≪妻の気持ちを安定させるために努力する≫など4カテゴリーが抽出された.乳がん患者の配偶者は,乳がん罹患や治療に伴う妻の変化においてわからないことや察しきれないことに戸惑いを感じながら,見守り刺激しないよう努力し,夫として妻をサポートする役割を果たしたいと模索している姿が明らかになった.配偶者は乳がん患者である妻をサポートする存在として意識しており,配偶者が妻をサポートできる能力を強化する援助の必要性が示唆された.

著者関連情報
2012 一般社団法人 日本がん看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top