要 旨
【目的】がん患者と家族成員のパートナーシップとQOLとの関連,パートナーシップに及ぼす影響要因を明らかにする.
【方法】通院または短期入院のがん患者と家族成員28組(56名)に対し構造化面接を行った.調査項目は,患者と家族成員両者に特性,WHOQOL26,家族コミュニケーション尺度,患者にMental Adjustment to Cancer scale,家族成員にCaregiver Quality of Life Index-Cancerを用い,パートナーシップの指標は患者と家族成員の「肯定的コミュニケーション得点の和」とした.分析はPearsonの積率相関係数と重回帰分析(p<0.05)で行った.
【結果】分析対象者は25組(50名),患者は全員化学療法を受けていた.分析の結果,パートナーシップは患者のQOL(r=0.504,p<0.05),家族成員のQOL(r=0.615,p<0.01) と関連し,患者のQOLと家族成員のQOLは関連(r=0.626,p<0.001)することが明らかとなった.パートナーシップに及ぼす影響要因は「患者の悲観」「家族成員の心理的負担感」「患者の否定的コミュニケーション」「家族成員の否定的コミュニケーション」「家族成員のサポートの有無」であった.
【考察】がん患者と家族成員のパートナーシップとQOLとの関連を明らかにすることで,家族をシステムとして捉える看護実践の重要性を示した.パートナーシップを促進するためには,患者の悲観,家族成員の心理的負担感に対する「ありのままを受け止める支持的共感的介入」と「コミュニケーションをつなぐ洞察力」を磨き,「家族成員のサポート体制の構築」が必要である.
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