日本がん看護学会誌
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原著
喉頭全摘出術により失声した患者の食道発声法の習得を促すケアモデルの評価
南川 雅子
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2012 年 26 巻 3 号 p. 4-13

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抄録

要 旨

本研究の目的は,食道発声法の獲得を促すケアモデルを喉頭全摘出術により失声した患者に適用し,ケアモデルの有効性を評価することである.研究デザインは不等価コントロール群事前事後テストデザインとした.対象は,食道発声法訓練(以下,訓練)を受けて1週間程度経過したケアモデル適用群(以下,適用群)10名,非適用群12名であった.適用群は訓練を開始して1週間程度経過時,およびその後1カ月間ケアモデルを実施した後の2回,非適用群はケアモデルを実施せず,適用群と同様の時期に2回,訓練に対するストレスとコーピング,自己練習状況,発声音数,心理的影響要因,心理的適応状態に関するデータ収集を行った.分析はt検定,対応のあるt検定,反復測定による分散分析を行った.結果,「発声音数」に介入と調査時期の交互作用がみられた.これは,対象者が頸部や肩をリラックスさせるイメージ法や筋弛緩法を行うことで,食道内への空気の取り込みが容易になり,発声しやすくなったためと思われる.また,対象者が研究者と話し合うことにより,自宅での自己練習方法を明確にしたうえで自己練習できたことも「発声音数」の向上につながったのではないかと思われる.「練習頻度」,「自己練習時間」,「相互支援型コーピング」は調査時期による主効果がみられた.これらについては,食道発声教室において訓練を継続することにより向上したと考えられる.

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2012 一般社団法人 日本がん看護学会
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