日本がん看護学会誌
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研究報告
回復期にある婦人科がん術後患者のQOLの実態と関連要因
井上 水絵佐藤 和佳子
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キーワード: 婦人科がん, QOL, 手術後
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2012 年 26 巻 3 号 p. 14-22

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抄録

要 旨

目的:本研究は,回復期にある婦人科がん術後患者におけるQOLの実態と関連要因を明らかにすることを目的とした.

方法:婦人科外来患者112名を対象に,基本属性,治療状況,QOL尺度(FACT‒G),更年期症状(SMI),抑うつ(SDS),夫婦関係満足度,ソーシャルサポートで構成される調査用紙を用い聞き取り調査を行った.分析は記述統計を求め,FACT‒Gについて比較および相関分析を行ったうえ,関連の認められた項目について重回帰分析を行った.

結果:多発がんを除く110名を分析対象とした(有効回答率98.2%).FACT‒Gは平均86.4±11.6点であり,関連が認められたのは配偶者・パートナーの有無,経済状況,社会役割変化,排尿障害の有無,排便障害の有無,SMI,SDS,夫婦関係満足度,ソーシャルサポートであった.重回帰分析の結果,ソーシャルサポート(β=-.42,p<.001)がQOLに肯定的な影響,抑うつ(β=-.51,p<.001)がQOLに否定的な影響を及ぼすことが明らかになった.

結論:回復期にある婦人科がん術後患者のQOL向上のためには,ソーシャルサポートの強化と抑うつの予防,早期発見と対処が重要な看護支援であることが示唆された.

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2012 一般社団法人 日本がん看護学会
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