日本がん看護学会誌
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原著
セカンドオピニオンを受けた女性乳がん患者の初期治療選択過程
松井 美由紀秋元 典子
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2016 年 30 巻 3 号 p. 29-39

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抄録

要 旨

本研究の目的は,セカンドオピニオンを受けた女性乳がん患者の初期治療選択過程を明らかにし,看護実践への示唆を得ることである.セカンドオピニオンを受けて初期治療選択をした女性乳がん患者24 名を対象とし,半構造化面接にてデータ収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.その結果,患者の初期治療選択過程は,『疑念が拡がる』および『疑念が晴れる』をコアカテゴリーとする過程であった.【乳がんに命をもっていかれる】との危機感を抱いた患者は,【命と女性であることの価値を量る】【これまでの生活を維持できる治療法を模索する】〈氾濫した情報にのみこまれ収拾がつかない〉過程を経る一方,【この医師には命を託せない】【何も聞けず・わからず・解決できず】との過程を経る場合もあった.いずれの場合も【治療法選択の決め手が見つからない】ため〈他に頼る手段がない〉〈身近な人に勧められる〉ことで,セカンドオピニオンを求めた.セカンドオピニオンを受けた後【先の見通しが立ち腹をくくる】ことができ,【命と女性であることの価値を量る】【何も聞けず・わからず・解決できず】に戻る場合があるものの【医療者の力で混迷から脱却する】【合点のいく治療法を見つける】ことで治療法選択に至っていた.

これらから,セカンドオピニオンを受ける前に看護師による患者への面談を通して,セカンドオピニオンを求めた理由や過程の把握と,それに応じた支援,特に日常生活支援者として【これまでの生活を維持できる治療法を模索する】過程を支援する必要性が示唆された.

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2016 一般社団法人 日本がん看護学会
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