日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
原著
子育て中にがんで配偶者を亡くした母親が死別後に子どもと生きていく生活の中での体験
横山 聖美
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 31 巻 論文ID: 31_yokoyama_20170511

詳細
抄録

要 旨

本研究の目的は,子育て中にがんで配偶者を亡くした母親が死別後に子どもと生きていく生活の中での体験を明らかにすることである.対象者4 名に,半構造的面接法によりデータ収集を行い,質的記述的研究法に基づき分析を行った.結果は6 つのカテゴリーに分類された.子育て中にがんで配偶者を亡くした母親の体験は,【1 人で子育てをする孤独感】【子どもの前で悲しむ姿を見せられない】【子どもとの関係に戸惑う】【子どもがいることで助けられる】【周りの人に支えられる】【思い出と共に子どもと前向きに生きる】の6 つであった.母親は1 人で子育てをする孤独感の中で,死別体験をした子どもとの接し方への戸惑いを感じていた.母親は,「子どもがいたら普通に過ごしていかなければいけない」と,自らの悲しみを表出できず,子どもと父親の死について話すことはできなかった.また,子どもに病状をはっきりと伝えないことは,死別後の悲嘆反応に影響するため,子どもも親の看取りに参加でき,納得できるお別れができるように看護師が配慮することが必要である.父親を亡くした子どもと,子育て中に配偶者を亡くした母親という2 つの悲嘆を親子で乗り越えることへの支援の必要性が示唆された.

著者関連情報
2017 一般社団法人 日本がん看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top