日本臨床栄養学会雑誌
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介護老人保健施設において提供される食事のビタミンB1含有量 ― 嚥下調整食別の比較―
石橋 佑香苅部 康子福岡 梨紗五味 郁子
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2021 年 43 巻 4 号 p. 198-204

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抄録
【目的】ビタミンB1は,糖代謝を中心に様々な代謝経路の補酵素の機能がある水溶性ビタミンである.高齢者のビタミンB1推定平均必要量は男性が1. 0 mg,女性が0. 8 mgとされているが,食事中のビタミンB1含有量はあまり評価されていない.介護老人保健施設で提供されている食事について,常菜食と嚥下調整食のビタミンB1含有量を分析し,明らかにすることを目的とした. 【方法】1食分の常菜食,ソフト食,ムース食,ミキサー食の4食種,それぞれ主食,主菜,副菜2品,汁物の計5品,計20サンプルを食品分析し,100 gあたりのビタミンB1含有量の結果を得た.盛り付け量あたりに換算し,献立作成時の計算値に対する割合を損失率とし,食種ごとに比較した. 【結果】1食分5品合計値のビタミンB1含有量は,常菜食が0. 080 mg,ソフト食が0. 045 mg,ミキサー食が0. 006 mg(損失率94.0%)で,ムース食は検出されなかった(損失率100. 0%).主食の損失率は食種によって70. 0 ~ 100. 0%,主菜は . 0 ~ 100. 0%,野菜類を主とする副菜は56. 7 ~ 100. 0%,豆類を主とする副菜は78. 6 ~ 100. 0%,汁物は100. 0%であった. 【結論】嚥下調整食は,常菜食よりもビタミンB1含有量は少ないことが明らかになった.
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© 2022 一般社団法人日本臨床栄養学会
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