日本臨床栄養学会雑誌
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鉄欠乏性貧血として治療されていたαサラセミアの一例
吉本 早奈恵吉澤 篤人吉澤 佳子
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2023 年 45 巻 2 号 p. 140-146

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抄録
症例は46歳,女性.入院時の血液生化学検査でRBC 5 . 06×106 /μL,Hb 11 . 2 g/dL,MCV 71 . 5 fL,MCH 22 . 2 pgと小球性貧血を認めた.サラセミア診断の指標であるMentzer Index(MCV/RBC)は14 . 1と13以上であったが,鉄剤処方にて貧血が改善しなかった.治療歴とFe 105 μg/dL,Ferritin227 . 1 ng/mLであったことからサラセミアを疑った.精査の結果,Hb分画はHbF 0 . 6 %,HbA2 2 . 2 %.BCB染色でHbH inclusion bodyを有する赤血球が認められ,軽症型αサラセミアと診断した.小球性貧血の代表的疾患は鉄欠乏性貧血であるが,Mentzer Indexが13以上であってもMCV 80 fL未満かつMCH 27 pg未満であれば,鉄欠乏性貧血ではなく,サラセミアを疑うべきである.
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© 2023 一般社団法人日本臨床栄養学会
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