【背景と目的】わが国の透析患者における体格指数(Body mass index=BMI)の意義は十分明らかでないため,当施設の維持透析患者の5年間生命予後とBMI の関係を明らかにする.
【対象と方法】当施設維持透析患者988名を対象に5年間の転帰を調査し,全体および70歳未満・70歳以上の年齢層別,さらにそれぞれ糖尿病有無別のBMI 階層別の累積生存率を算出した.
【結果】5年間の転帰は生存573名,死亡236名,転出179名であった.多変量解析において死亡者の臨床背景は生存者に比し有意に男性比・糖尿病罹患率が高く,高齢,血清アルブミン低値,BMI 低値であった.BMI階層別の累積生存率は,70歳未満の非糖尿病群は有意差がなかったが,糖尿病群ではBMI低値ほど低かった.70歳以上では非糖尿病群・糖尿病群ともBMI低値ほど累積生存率は低く,糖尿病群は非糖尿病群に比し低かった.70歳以上での5年間死亡に対するBMIのカットオフ値は19 . 7 kg/m2で,オッズ比=2 . 2278であった.死亡原因はBMI低値であるほど感染症が多く,悪性腫瘍は少ない傾向がみられた.
【結論】透析患者の5年間の累積生存率は,70歳未満・非糖尿病群を除きBMI低値ほど低く,特に高齢者ではBMI が20 kg/m2未満とならないような栄養管理が重要と思われた.
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