2008 年 10 巻 1 号 p. 19-23
【背景】当院が位置する静岡県藤枝市、および大井川町、岡部町は自治体と医師会の主導により、前立腺癌の血中腫瘍マーカーであるPSA(prostate specific antigen: 前立腺特異抗原)測定による前立腺癌検診を1995年より推進してきた。これまですべての一次検診異常者は各自治体の保健センターより当科への受診を指示され、その後の精査を行ってきた。検診以外の受診契機で発見される患者を含めて、新規前立腺癌患者は増加の一途をたどっており、他の泌尿器疾患患者の増加と併せ、個々の患者に十分な時間を割いた診療が出来なくなってきている。
【方法】2007年度より、前立腺癌検診の方法を医師会と協議の上、変更した。具体的には、二次検診先として日本泌尿器科学会専門医資格を有する志太医師会管内の開業医を加え、前立腺癌検診に関する地域連携クリニカルパスを作成し、受診者のデータを各々の検診先で共有できるようにした。
【結果】一次検診異常者が二次検診先として開業医を受診するようになり当科への受診者が減少した。
【結論】前立腺癌検診に地域連携クリニカルパスを導入したことにより、地域内の検診方法の標準化が可能となった。