日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
10 巻, 1 号
日本クリニカルパス学会誌 第10巻 第1号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
実践報告
  • 向後 麻里, 高地 明子, 木内 祐二
    原稿種別: 実践報告
    2008 年 10 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

    【目的】がん化学療法のリスクマネージメントの現状を把握するとともにがん化学療法パスについて、医療従事者がどのような認識を持っているのかを調査し、今後の留意点を検討する。

    【方法】昭和大学病院でがん化学療法に従事している医師、薬剤師、看護師合計206人に対し、アンケート調査を行った。質問内容はがん化学療法のリスクマネージメントの現況およびがん化学療法パスの役割、有用性、使用法、印象の5項目とした。

    【結果】アンケートは、医師24名(80%)、薬剤師16名(100%)、看護師143名(89%)から回答を得た。医師37%、薬剤師62%、看護師50%は現在の副作用リスクマネージメントに満足していないと回答し、副作用評価に対しては、医療スタッフ間で、重症度の評価方法に違いがあることが明らかとなった。また、医師、薬剤師、看護師の60%以上が、がん化学療法パスは、副作用の早期発見・治療につながると思うと回答していた。さらに、医療スタッフの多くはがん化学療法パスの使用により、治療内容が理解できると回答し、その有用性を高く評価していた。

    【考察】アンケート結果より、がん化学療法パスは、副作用リスクマネージメントのツールとして全ての医療スタッフから期待されていることが明らかになり、今後の安全な化学療法の実施に貢献することが期待できる。

  • 渡部 憲昭, 長谷部 誠, 赤間 尚子, 今泉 洋子, 今田 隆一
    原稿種別: 実践報告
    2008 年 10 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     めまいは救急診療において遭遇する頻度の高い臨床症状の一つであり、適切な対応と脳血管障害の鑑別が重要となる。

     当院では2003年より、めまい経過観察入院クリニカルパス(以下CP)を作成し運用している。CPの基本内容は、入院期間4日間、過去の症例分析による補液量、入院翌日のMRI、看護計画を組み込んだだけの単純なものである。

     CP運用により、1年間のめまい入院症例数は106例から222例と倍増し、平均入院期間は4.7日から3.9日へ短縮した。外来および入院診療の標準化、看護業務軽減、安全性向上にもつながつた。MRIの徹底により222例中8例(3.6%)に脳血管障害(脳梗塞、椎骨脳底動脈血流不全)を認めた。

  • 平野 恭弘, 渡邉 里美, 森田 恭子, 井原 詠子, 西島 誠聡, 青木 雅信, 阿曽 佳郎
    原稿種別: 実践報告
    2008 年 10 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

    【背景】当院が位置する静岡県藤枝市、および大井川町、岡部町は自治体と医師会の主導により、前立腺癌の血中腫瘍マーカーであるPSA(prostate specific antigen: 前立腺特異抗原)測定による前立腺癌検診を1995年より推進してきた。これまですべての一次検診異常者は各自治体の保健センターより当科への受診を指示され、その後の精査を行ってきた。検診以外の受診契機で発見される患者を含めて、新規前立腺癌患者は増加の一途をたどっており、他の泌尿器疾患患者の増加と併せ、個々の患者に十分な時間を割いた診療が出来なくなってきている。

    【方法】2007年度より、前立腺癌検診の方法を医師会と協議の上、変更した。具体的には、二次検診先として日本泌尿器科学会専門医資格を有する志太医師会管内の開業医を加え、前立腺癌検診に関する地域連携クリニカルパスを作成し、受診者のデータを各々の検診先で共有できるようにした。

    【結果】一次検診異常者が二次検診先として開業医を受診するようになり当科への受診者が減少した。

    【結論】前立腺癌検診に地域連携クリニカルパスを導入したことにより、地域内の検診方法の標準化が可能となった。

学会報告(第8回学術集会)教育講演2
  • 山中 英治
    原稿種別: 学会報告(第8回学術集会)教育講演2
    2008 年 10 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     栄養管理実施加算が認められ、栄養サポートチーム(NST)の役割が再認識されている。しかし、臨床の現場では、チーム医療としての病院横断的な栄養管理とはどのように実施するのか、栄養サポートチームとは何か、そして具体的にはどのような活動を行えば良いのかが解らず、暗中模索状態にあることも多い。

     さいわいにも、クリニカルパス(パス)の導入が先行して、チーム医療という考え方が根付きつつある昨今、栄養管理もチーム医療で行うことに抵抗がなくなりつつあり、今回の加算がNST活動の普及に拍車をかけている。

     パスで医療が標準化され、パスを適用して医療を行うことがルーチンワークとなっているが、合併症によるバリアンスは発生する。受診時や入院時に全身状態の悪い患者では、当然合併症が発生しやすい。栄養不良も術後肺炎や褥瘡発生の原因となる。

     適切な栄養管理を行うことでバリアンス発生が減少して、患者のQOLも向上する。再入院のリスクを減少させるためにも、連携パスを始めとした栄養管理についての医療連携も重要である。

学会報告(第8回学術集会)ワークショップ2 情報の共有化と薬薬連携
  • ~保険薬局の立場から~
    前堀 直美
    原稿種別: 学会報告(第8回学術集会)ワークショップ2 情報の共有化と薬薬連携
    2008 年 10 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     保険薬局での患者情報不足の現状に関する患者・保険薬局薬剤師アンケート調査を行った。結果から、患者は保険薬局に対して自身の診断情報の共有を希望していることが明確になり、保険薬局薬剤師は患者情報の欠如による指導の限界を訴えていた。その改善目的で試作運用した外来患者診断情報伝達ツールの利用は、患者・保険薬局薬剤師双方の服薬管理のジレンマを解消するのに有効と思われた。現状で患者の服薬安全を確保するためには、多職種との討論の場に参加し、問題点を整理・提示することが必要と考えられる。

  • 永江 浩史
    原稿種別: 学会報告(第8回学術集会)ワークショップ2 情報の共有化と薬薬連携
    2008 年 10 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2008/03/07
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

     服薬安全に関して外来患者に限って言えば、病診連携という医師同士の協力体制だけでは限界がある。もっと広い枠組み、多彩な職種による患者情報共有下での協調が、患者の安全・利益確保のために必要と考える。そのために保険薬局薬剤師への期待感は大きい。ただ多くの処方医は多忙を極めており、保険薬局との情報共有に力を注ぐようになるには、保険薬局側が個々の患者の服薬指導に絶対必要だと考える情報の提供(共有)を処方医に積極的に求めていくことが必要である。「病診」も「薬薬」も非効率的で狭い連携議論を封印して、ともに病診薬連携(医薬総合連携)のレベルで語りあうべきと提案したい。

学会報告(第8回学術集会)ワークショップ3 疾患を絞った形でのバリアンス分析1(外科系)
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