日本クリニカルパス学会誌
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実践報告
泌尿器開放手術における早期シャワー浴による術後創感染への影響について
川村 研二
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2008 年 10 巻 2 号 p. 111-114

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抄録

【目的】術後の創傷管理の考え方はこの10年間に大きな変化をとげた。泌尿器開放手術において術後早期にシャワー浴を行い、術後創感染率について検討したので報告する。

【方法】小切開前立腺全摘除術14例、小切開腎摘除術12例、その他の泌尿器科手術27例を対象とした。術後24時間以降に創被覆を除去し、創の被覆消毒は行わなかった。シャワー浴は創を被覆しないで行った。

【結果】今回の対象の53例では術後の創感染は認めなかった。前立腺全摘除術では、術後2日目までに全例ドレーン抜去が可能であり、尿道カテーテル留置中(術後3から4日目)にシャワー浴を行った症例が14例中10例(71.4%)であった。術後7日目までに全例シャワー浴が可能となった。腎摘除術では術翌日までに全例ドレーン抜去が可能であり、12例全例で術後4日目までにシャワー浴が可能となった。

【結語】今回の検討で手術創感染を認めなかったことより、周術期管理に大きな問題は無いと思われ、今後も術後早期の創被覆の除去、消毒の廃止、早期シャワー、術後創感染サーベイランスを継続すべきと考えた。

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© 2008 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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