2008 年 10 巻 3 号 p. 171-181
我々は、進行非小細胞肺がんの治療で用いられるパクリタキセル・カルボプラチン併用療法のクリニカルパス(以下、パス)を、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)を用いて作成した。業務工程表の作成と影響度解析を行ったところ、投与日までは、確認項目が多岐に及ぶため重要度の高かった項目を時系列で並べたパスを、投与2日目以降は、副作用のモニタリングに重点を置いたオーバービューシートにてパスを作成した。また、患者用パス、レジメンスケジュールと副作用の説明書を作成し、患者への情報提供を行うこととした。FMEAを用いることで施行時のリスク予測と患者や医療従事者に対する重要度が確認され、それらに基づいたパスを作成することで、リスクの軽減と治療の標準化が可能となり、FMEAはがん化学療法パス作成に有用であると考えられた。