日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
High-Volume CenterとCommunity Hospitalの患者背景の相違を考慮したユニットパスの作成と運用
―がん診療の均てん化を目指して―
長谷川 慎一
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2009 年 11 巻 2 号 p. 145-151

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抄録

 クリニカルパス(CP)は、診療の標準化を図ることにより質保証を得る有用なツールであり、安全性の面からがん診療の均てん化に寄与し得る。今回我々は、High-Volume Centerで有効性・安全性が確認されたCPをユニット化してCommunity Hospitalである当院で運用し、その1年間の運用結果を検証した。<患者背景の検証>High-Volume Centerである神奈川がんセンター(KCC)と地域基幹病院である当院の患者背景を比較した。当院はKCCに比べ、①平均年齢が高い ②PSが不良 ③併存疾患を有する患者の割合が高い、といった特徴があり、腫瘍の進行度も高い傾向を認めた。<ユニットパスの運用成績>適用率90.5%、完遂率84.2%、術後在院日数の中央値12日(導入前19日)、職員満足度97.7%と満足のいく結果であった。<まとめ>がん専門施設と地域基幹病院である当院では患者背景に差を認めたが、これを考慮したユニットパスは有用であり、安全性の観点からがん診療の均てん化に寄与し得ると考えられた。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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