日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第9回学術集会)シンポジウム4 バリアンスがなくちゃパスじゃない ―バリアンス分析で何を変えられるか―
いかにPDCAサイクルを回すか
―院内術後嘔気出現時アルゴリズム運用からの考察―
原田 栄作向井 睦美
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2009 年 11 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

 当院においてクリニカルパス(パス)の運用に関して、作成、施行までは進むが、分析、改訂については停滞しており、PDCAサイクルは必ずしもうまく回っていない。今回、我々は院内危機管理のひとつとして、術後嘔気出現時の虚血性心疾患(IHD)対応アルゴリズムを作成運用し、これに関しては分析、改訂までを約半年間の運用で可能とした。このことから、通常のパス運用と今回のアルゴリズムとを比較しPDCAサイクルを回すのに必要な要因を考えてみた。通常パスと今回のアルゴリズムを比較した場合、今回は必要性が非常に明確であった点、承認を早く行うことができ作成から運用までの時間的短縮ができた点、また記録が簡素であった点、改訂を望むスタッフが多かった点、雑務を担当できる人員があった点が違いとして挙げられた。これらから通常のパス運用においても、①目的の明確化ならびに共有、②重要度に応じたいくつかの承認制度の設置、③記録の簡素化、④人員の選定、⑤組織での専従者の確保、がPDCAサイクル回転には重要と考えられた。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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