2009 年 11 巻 2 号 p. 137-143
岩手県立大槌病院は、岩手県三陸沿岸のいわゆる「地域の病院」であり、ある程度の診療能力が求められる一方で長期入院の高齢者の占める割合も多い。外科医は常勤1名で業務は多岐にわたり様々な科の疾患に対応する必要がある。そこで、術式は細分化せず、自宅(もしくは施設)への退院を最終アウトカムに設定したクリニカルパス(以下パス)を3種類(①疾患・術式パス、②経過観察入院用パス、③長期入院用パス)作成し、必要に応じて移行する運用を試みた。平成19年度の当科入院患者110名のパス適用率は81.8%で、うち離脱は2.2%であった。アウトカムを個別に作成する等工夫をしておおむね問題なく運用でき、看護計画を立案することなく、医師の指示も明確化されていることから看護師および他のコメディカルスタッフの受け入れも良好であった。小規模病院ならではのパスの利点を生かし運用する1つの方法と思われた。