日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第9回学術集会)シンポジウム4 バリアンスがなくちゃパスじゃない ―バリアンス分析で何を変えられるか―
「C型慢性肝炎に対するエコー下肝生検十インターフェロン治療」の日めくり型クリニカルパスのバリアンス分析と改良による効果について
今中 和穂西田 梨穂山根 康子下村 好子岩野 直美柳川 のり子宮地 裕子杉本 直俊岸 健太郎垣本 健一東山 聖彦
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2009 年 11 巻 2 号 p. 165-169

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抄録

 当院では2007年より紙ベースによる日めくり型クリニカルパスを作成し、順次試用中である。C型慢性肝炎に対する「C型慢性肝炎に対するエコー下肝生検+PEG - IFN+Rib療法クリニカルパス」の日めくり型パスを作成導入し、その後一部を改良した。改良の前後でバリアンス分析を行うことにより問題点について検討し、改良の効果を明らかにした。導入後6ヶ月間の18症例において、患者の身体的状況の異常に関するバリアンスのうち、処置を要したバリアンスは半数以下であった。そこで「無・有」と選択肢が二つであった観察項目のアウトカムに「軽度」を追加し、「無・軽度・有」に変更し、「無・軽度」をバリアンスとして取り上げないように改めた。改良後9症例に使用しバリアンス分析を行った。患者一人あたりのバリアンス件数は改良前4.9件(89/18)に対し、改良後は4.1件(37/9)とわずかに減少した。処置を要したバリアンスの割合は改良前48%(43/89)、改良後75%(28/37)と上昇した。パス改良により症状に関する軽度・自制内の場合はバリアンスとしてあがってこなくなったため、患者一人あたりのバリアンスは減少し、何らかの対処を必要とする臨床上重要な症状がバリアンスとしてより多い割合で認められるようになった。本疾患に対する当初のパスのバリアンス分析を行い改良することにより診療上重要な情報を効率よく拾い上げることができるようになった。

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© 2009 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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