2011 年 13 巻 1 号 p. 15-20
本研究は、地域医療連携を評価する手段の一つとして、大腿骨頸部骨折後の回復期から維持期における患者満足度調査を行ったものである。対象は、2005年1月から2008年12月までの4年間に、名古屋第二赤十字病院から当院へ転院された大腿骨頸部骨折の患者97名とし、無記名でのアンケートを郵送にて実施した。項目は選択式自記式とし、回答は本人または家族にお願いし、回収率は53.6%であった。結果として、主に以下が挙げられた。①自宅退院あるいは施設入所することに対して37.8%の方が不安、②想像していた退院後の生活と現在の生活を比較して37.8%の方が普通もしくは不満足、③受傷前の生活と現在の生活を比較して33.4%の方が普通もしくは不満足と回答され、④退院時の動作と比較して現在やりにくくなっている動作は一番に歩行が挙げられ、次いで階段の昇降、入浴動作、トイレ動作の順であった。患者の不安を軽減、満足度を向上させるためには、維持期のスタッフに伝達する地域連携パスに記載する情報を再検討する必要があり、それには患者が獲得した能力を維持・向上させていけるような実際の生活により即したADLにも着目すべきであると考えられた。また、その情報伝達方法についても一工夫する必要があると考えられた。