日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
クリニカルパス登録薬剤の適正化に対する薬剤師の関わりとその効果
山根 淳子川下 麻記子藤吉 徹也竹中 和史山本 克己
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 13 巻 3 号 p. 175-180

詳細
抄録

 当院での新規または改訂クリニカルパス(以下、パス)の登録・運用は、院内クリニカルパス委員会に各診療科がパス案を申請、それを各部門(医務部、看護部、薬剤部など)が点検し、運用が可能となる。今回、パス登録薬剤の適正化への薬剤師の関わりについて調査・分析した。

 2008年4月から2010年3月までの2年間に薬剤師が作成に関わった301のパスに対して点検内容を調査したところ、指摘事項がなかったパスは73(24.3%)、指摘事項があったパスは208(75.7%)であった。この208のパスにおける指摘件数は381件であり、そのうち293件(76.9%)が変更された。その結果、点検した301のパスのうち、108に対し安全性の向上、19に対し薬物療法の有効性の向上、63に対し業務の効率化、24に対し経済性の向上が期待できた。複数の効果に関与したパスもあり、結局、141(46.8%)のパスで、薬剤師が安全性の向上、薬物療法の有効性の向上、業務の効率化、経済性の向上のいずれかの効果に対し寄与した可能性があり、薬剤師職能の活用がパス登録薬剤の適正化に貢献することが示唆された。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top