日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
13 巻, 3 号
日本クリニカルパス学会誌 第13巻 第3号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
原著
  • 方波見 柳子, 石塚 英弘
    2011 年13 巻3 号 p. 157-165
    発行日: 2011/10/14
    公開日: 2022/01/31
    ジャーナル フリー

    緒言:本研究は、看護師、介護士の必要労働時間を見積もる方法として、クリニカルパス(以下、パス)に基づくシミュレーションの方法を考案し、その妥当性を検討することを目的とする。看護業務の所要時間推定法には、TNS(Toranomon Nursing System)、KNS(Kitasato Nursing System)と、看護必要度が広く用いられているが、いずれもパスに基づく推定法ではない。本研究では、パス「心臓カテーテル検査3日コース」(以下、本パス)を並行実施する場合を例として必要労働時間を推定するシミュレーションを行った。

    方法:シミュレーション方法(本方法)は次のとおりである。1)本パスにおける、患者に対する医療行為・ケアの詳細化を行い、2)その所要時間を実測し、3)本パスの並行実施スケジュールと、病棟看護師・介護士の割り当てを4週間分設定し、4)所要時間の積み上げ計算を個々の看護師、介護士ごとに行い、1時間当たり必要労働時間数の値を1日24時間分、曜日ごと4週間分、求めた。

    結果:本方法で得た値を分析した結果、値の推移は本パス上のどの時点の患者を担当するかによって決まること、曜日による値の異なりは当日の入院、退院、検査の重なりの程度により決まること、値が1.0を超える場合は仕事の遅れの原因になることが明らかになった。結果は実態と一致するため、本方法も妥当と考えられる。

    結論:本方法は必要労働時間を推定する方法として妥当である。

実践報告
  • ~日めくり式パスを導入して~
    成澤 麻紀, 梶浦 優子, 和田 さゆり, 的場 佳子, 川原田 陽, 奥芝 俊一
    2011 年13 巻3 号 p. 169-174
    発行日: 2011/10/14
    公開日: 2022/01/31
    ジャーナル フリー

     侵襲が大きい食道癌手術において、アウトカムを明確化し、判断基準を設定した日めくり式パスはバリアンスが拾い上げやすく、評価しやすいことがわかった。また、今回のバリアンス分析から、食道癌手術は呼吸機能に関するバリアンス発生が多いことが判明したため、判断基準の見直しや術前の呼吸リハビリテーションの強化を行っていく必要があると考えられた。

  • 山根 淳子, 川下 麻記子, 藤吉 徹也, 竹中 和史, 山本 克己
    2011 年13 巻3 号 p. 175-180
    発行日: 2011/10/14
    公開日: 2022/01/31
    ジャーナル フリー

     当院での新規または改訂クリニカルパス(以下、パス)の登録・運用は、院内クリニカルパス委員会に各診療科がパス案を申請、それを各部門(医務部、看護部、薬剤部など)が点検し、運用が可能となる。今回、パス登録薬剤の適正化への薬剤師の関わりについて調査・分析した。

     2008年4月から2010年3月までの2年間に薬剤師が作成に関わった301のパスに対して点検内容を調査したところ、指摘事項がなかったパスは73(24.3%)、指摘事項があったパスは208(75.7%)であった。この208のパスにおける指摘件数は381件であり、そのうち293件(76.9%)が変更された。その結果、点検した301のパスのうち、108に対し安全性の向上、19に対し薬物療法の有効性の向上、63に対し業務の効率化、24に対し経済性の向上が期待できた。複数の効果に関与したパスもあり、結局、141(46.8%)のパスで、薬剤師が安全性の向上、薬物療法の有効性の向上、業務の効率化、経済性の向上のいずれかの効果に対し寄与した可能性があり、薬剤師職能の活用がパス登録薬剤の適正化に貢献することが示唆された。

  • −患者・看護師へアンケート調査をしてわかったこと−
    有村 美紀, 上道 恵美, 浦木 今日子, 下垣 友里, 武田 始子, 初田 早苗, 有住 由紀子, 重見 奈名代, 本田 美恵子
    2011 年13 巻3 号 p. 181-188
    発行日: 2011/10/14
    公開日: 2022/01/31
    ジャーナル フリー

     患者へよりよい治療を提供するために、クリニカルパスは欠かすことのできない道具である。道具であるクリニカルパスをうまく利用するためには、常に現状を把握し、内容の評価・改訂を繰り返すことが必要である。神鋼病院では2006年から乳がん(手術)クリニカルパスを使用し随時改訂してきた。しかし、実際に使用している患者や看護師にクリニカルパスの使用感を調査していなかったため、改訂内容は作り手のみの評価に留まっていた。今回、乳がん(手術)クリニカルパスを使用している患者と看護師の立場からみた使用感をアンケート調査し、明らかになったことをここに報告する。

  • 仲 広志, 今井 厚, 保刈 岳雄, 高野 靖悟
    2011 年13 巻3 号 p. 189-193
    発行日: 2011/10/14
    公開日: 2022/01/31
    ジャーナル フリー

     当院ではクリニカルパスの作成をする際に、検査室がパス作成疾患における従来の検査データを時系列分析を行い、臨床に効果的な検査項目を提案している。

     今回われわれは、現在使用している結腸切除術クリニカルパスの見直しを行う際に2007年12月から2009年9月まで結腸切除術クリニカルパスを使用した47症例(男性23名、女性24名平均年齢67.6歳)を対象とし、現行のクリニカルパスで使用されている検査項目について時系列分析を行い検討した。またパス項目以外に追加依頼された検査項目の結果についても検討を行った。

     比較的変動が大きい項目に関しては、CRPを除き、許容範囲内であった。また術後3日、7日は変化が少ない項目が多く、術後3日の採血は削除可能であると考えられた。また、追加項目に関しては、施行数が少ないのでパス見直しでの追加の必要性は乏しいと考えられた。

     クリニカルパスの運用後、検査値を分析・確認することで、さらにより効果的な検査を提示することが可能であると考えられた。

学会報告(第11回学術集会)シンポジウム1 パスのデータ分析
セミナー報告(2011年度教育セミナー)
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