2012 年 14 巻 3 号 p. 205-208
大腸内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)のクリニカルパス(以下、パス)を使用した入院患者の在院日数、治療から退院までの入院日数、日々のアウトカムの達成率、バリアンスの発生要因を調査し、パス改定後の妥当性を評価した。現行の大腸ESDパスは、治療前日に入院し、治療後3日目に退院を設定している。前回のパス改定時に腸管洗浄の方法、食事開始日、入院期間を変更したことがポイントである。腸管洗浄の下剤を変更したことで、「腸管洗浄の追加がない」のアウトカムの達成率は改定前より7.1ポイントと上昇した。しかし、治療後の「食事が開始できる」のアウトカムの達成率は3.4ポイント下降した。食事の開始時期は、治療に関連する穿孔、後出血、発熱、腹痛などの合併症の発生に影響するため、今後の検討すべき課題である。