日本クリニカルパス学会誌
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実践報告
呼吸器外科外来術前電子パスのバリアンス分析
牧口 美江安東 立正笹原 啓子六本木 京子小澤 初美林 昌子上吉原 光宏永島 宗晃井貝 仁
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2013 年 15 巻 3 号 p. 187-192

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抄録

 呼吸器外科外来術前パス(以下、術前パス)を2009年10月から電子化し、バリアンス分析を行った。対象は2009年10月から2010年8月まで術前パスを適応した患者50例で、平均年齢69.5歳であった。主な対象疾患は原発性肺がんが66%を占めた。アウトカムは患者状態を13項目、生活動作を1項目、知識教育を14項目設定した。患者状態のアウトカムは、50例中45例90%にバリアンスが発生した。生活動作は、50例中28例56%にバリアンスが発生し、そのうち3例が手術中止や、延期となった。知識教育についてのバリアンスの発生はなかった。

 当院では外来術前パスを初めて電子化したため、アウトカムの設定は従来の紙パスをベースに構成や運営を手探りで行った。そのためアウトカムの設定が細かく、外来業務中のバリアンス入力作業に時間を要し、作業の効率化につながらず有効な活用に至らなかった。そこで患者状態を13項目から7項目に簡素化し条件設定を改訂した結果、多忙な外来業務中でもバリアンスに対する記載や処理が可能になり、術前患者のリスクも明確化されたうえ業務の効率化も図られた。

 それは、バリアンス発生後のバリアンス編集を正確に記載することで、記載内容が裏付けされた情報に変化し、それをPDCAサイクルに反映させることで、時代に則した適正なパスに成長し、患者予後をよりよくしていく目的意識に沿った医療と看護の質保証、質向上につながると考える。

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© 2013 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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