日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
バリアンス収集方法による分析結果の比較
勝尾 信一吹矢 三恵子中川 美絵片岡 亜季子清水 秀美坂下 香苗吉岡 準平吉田 仁美見澤 美雪吉江 由加里
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 18 巻 3 号 p. 211-219

詳細
抄録

目的:バリアンス収集方法の違いを検証する。

方法:バルーン椎体形成術(Balloon Kyphoplasty:BKP)パス27回を対象に、4種類のバリアンス収集方式別にバリアンス収集・分析を行い、バリアンス件数、提案された改善策の内容を検討した。

結果:退院時バリアンスは8件発生し、手術直後からのリハビリテーションに関する提案がなされた。センチネル方式では4項目のクリティカルインディケーターに対して23件のバリアンスが発生し、患者状態に応じたパスの作成、手術直後からのリハビリテーションの強化、痛みに関する観察とアウトカムの追加が提案された。ゲートウェイ方式では92項目の日々のアウトカムに対して243件のバリアンスが発生し、センチネル方式に対する上乗せ分として、手術後合併症の早期発見に関して検討された。オールバリアンス方式では1,495件のバリアンスが発生し、骨粗鬆症治療薬の追加、持参薬中止・再開の確認、手術後SpO2 測定回数の増加、退院時診療情報提供書要不要の確認が提案された。発生要因は、ゲートウェイ方式では98.8%が患者・家族要因であったが、オールバリアンス方式では77.4%であった。バリアンス件数・改善策の特徴は、過去の報告どおりであった。

結論:バリアンス分析にかかる労力は、バリアンス件数だけでなく、分析手法によって異なってくる。バリアンス分析に注ぎ込める労力と、提案される改善策の及ぶ範囲を考慮して、バリアンス収集方法を選ぶことをお勧めする。

著者関連情報
© 2016 日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top