Basic Outcome Maste(以下、BOM)を用いた大腿骨近位部骨折地域連携クリニカルパス(以下、パス)を34名に適用し、回復期病院での転帰を自宅退院、施設転所、慢性期病院転院、急性期病院転院の4群に分けその要因を分析した。転帰割合は自宅退院56%、施設転所32%、慢性期病院転院3%、急性期病院への転院9%であった。転帰別平均年齢、平均在院日数に有意差はなかった。認知症併存率は自宅退院者47%、施設転所者82%、慢性期病院転院者100%、急性期病院転院者67%であった。入院時Functional Independence Measure(以下、FIM)運動5項目(清拭入浴、トイレ動作、ベッド移乗、トイレ移乗、歩行)は自宅退院者、施設転所者、慢性期病院転院者、急性期病院転院者の順に低下し、認知症者ではさらに低値であり、入院時FIMと認知症が転帰を左右していた。さらに脳卒中、虚血性心疾患、骨折等の既往も転帰に影響していた。回復期の転帰は慢性期医療ニーズに直結し、これを左右する要因である①認知症、②機能回復と維持、③合併症発症、④併存疾患の悪化(二次骨折を含む)に関する医療情報を可視化し確実に把握する上で、BOM使用連携日めくりパスは重要な医療情報基盤になることが明らかになった。
回復期施設にBOM使用日めくりパスを導入することで、看護観察評価とアウトカム評価の関係性が理解され、Activities of Daily Living(以下、ADL)改善の経過がわかりやすくなり、看護の標準化とレベル向上につながった。今後はBOMのADL関連項目の拡大が課題である。