日本クリニカルパス学会誌
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Print ISSN : 2187-6592
実践報告
小児食物経口負荷試験クリニカルパスの作成
青木 有加堀本 純子関本 員裕
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2020 年 22 巻 1 号 p. 38-42

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抄録

目的:当院では2017年度から小児食物経口負荷試験(以下、負荷試験)を開始した。小児科病棟看護師は、経験年数や病棟在籍年数、負荷試験経験回数が様々であったため、クリニカルパス(以下、パス)による可視化が必要と考え、2018年に食物経口負荷試験クリニカルパス(以下、負荷試験パス)を作成した。

方法:日本小児アレルギー学会のガイドラインに準拠してパスを作成した。薬剤を本人用であらかじめ処方し、投与患者・薬剤の間違いを防ぐとともに症状出現時に迅速な対応ができるように工夫した。また、パス画面にバイタルグラフを組み込み、パス画面上でも時系列で入力と確認ができるようにした。

結果:2018年で延べ80名に負荷試験が実施され、同年11月現在で病棟看護師の約8割が負荷試験を経験した。パス適用件数は65件で、そのうちバリアンス件数は21件(32.3%)、発熱等の理由でパス適応前に負荷試験が中止となったのは15件であった。また、最終摂取後2時間以降に重篤な症状が出現する例はなかった。

考察:負荷試験はアナフィラキシーを起こす可能性があり、いかに迅速に適切な対応ができるかが求められる。2018年4月に負荷試験パスを作成、導入した結果、「アナフィラキシー時に慌てることなく迅速に対応ができた」、「患者指導がスムーズに行えた」などの意見があった。

結論:看護師経験年数や病棟在籍年数、負荷試験の経験に差があっても、パスを使用することで統一された医療・看護が提供できた。

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© 2020 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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