日本クリニカルパス学会誌
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Print ISSN : 2187-6592
実践報告
高齢者肺炎地域医療連携クリニカルパスの有用性
勝又 萌河野 雅人堤 あかり平間 隆太郎竹田 健一郎持塚 康孝三木 良浩橋本 大橋爪 一光中村 秀範
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2021 年 23 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

 高齢者肺炎の大半は誤嚥性肺炎であり、再燃・再入院率が高く、入院期間が長期化する症例が多い。そこで、当院呼吸器内科と西山病院は連携し、高齢者肺炎地域医療連携クリニカルパス(以下、肺炎地域連携パス)の作成に取り組み、2016年3月から運用を開始した。今回、肺炎地域連携パス導入後3年間の有用性を評価した。2016年3月~2019年3月までの期間において、肺炎治療後に転院した連続188症例のうち肺炎地域連携パスは46症例(24.5%)に使用されていた。パス使用件数(および使用率)は、2016年度12件(17.4%)、2017年度13件(19.7%)、2018年度21例(39.6%)と増加傾向であった。また、パス導入に伴う連携施設間の取り組みによって、転院受け入れ体制が向上した。パス使用例の背景は、平均年齢87.8歳、男性25例(54.3%)、誤嚥性肺炎(DPC傷病名)36例(78.3%)、要介護1以上37例(80.4%)であった。パス脱落は10例(21.7%)に認め、患者要因が大半であった。転院後最終転帰(パス脱落除く)は、死亡退院20例(55.6%)、入院継続9例(25.0%)、自宅退院または介護施設入所7例(19.4%)であった。パス使用例は、非使用例と比較して有意に高齢であったが、パス介入により入院期間が有意に短かった(各20.1±3.0日、36.5±20.6日;p値<0.0001)。以上、肺炎地域連携パスの導入により、自宅退院が困難と予想された高齢者肺炎に対して早期から多職種による包括的介入が行われ、円滑な転院調整が可能となった。

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