日本クリニカルパス学会誌
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実践報告
当院における前立腺がん地域連携クリニカルパスの運用状況
蓮見 勝清水 信明村松 和道木下 紫小沼 由依
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2021 年 23 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

 前立腺がんに対する手術療法・放射線療法後の経過観察を目的とした前立腺がん地域連携クリニカルパス(以下、連携パス)を作成した。連携開始後、2年目、5年目、10年目に当院へ定期受診する循環型パスとし、患者アウトカムは、1.PSA値が再燃基準値を超えない場合、2.放射線治療後は直腸出血が3日を超えて認めない場合とした。

 2012年1月から2019年10月までに579例に連携パスを適用した。連携施設総数は193施設であった。カルテ調査により、定期受診予定を過ぎても当院を受診していない、経過不明症例が103例判明した。経過不明症例について、連携医に調査票を郵送、受診状況確認への協力を依頼した。郵送による追跡調査により、72例の現状が判明し、最終的に経過不明症例は31例(5.4%)であった。

 連携パス適用患者579例中、他院紹介となった11例、他臓器のがん合併などバリアンス以外の理由で当院再受診となった12例、死亡例8例を除いた548例におけるバリアンス発生は、16例(2.9%)であった。

 当院の連携パス運用7年での追跡調査で、連携後の受診状況が確認できない患者が少なくないことが問題となった。今後、未受診患者をできる限り減らし、確実な地域連携を行うためのシステムの改善が必要と考えられた。

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