日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
クリニカルパス委員会への診療情報管理士介入による効果
松本 由紀子酒井 早船橋 響介島田 裕子上島 成也
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 24 巻 1 号 p. 10-16

詳細
抄録

 当センターでは、クリニカルパス(以下、パス)の管理・改善促進を目的に、2013年4月よりパス委員会へ診療情報管理士を配置した。

 診療情報管理室が事務局を担い、管理台帳・申請フロー・マニュアル等を整備し、窓口の一元化を行った。パスに関する統計を定期的に作成し、電子カルテの院内掲示板でパス情報の発信を行うなど、基本的な管理体制を構築した。

 次に、質向上を促進する仕組みとして勉強会・パス大会の定例化を行った。また、新規作成の提案・マネジメントに加え、毎月1診療科に対し診療情報管理士が1~2件の既存パスの分析資料を作成することとした。分析資料を元に、関連する多職種が集まり問題点と改善案を検討し、定期的にパスの質向上を促進する「パス更新」の仕組みを構築した。

 分析資料では、診断群分類の内訳から適用基準の妥当性の検討、DPCデータ分析ソフトのベンチマーク機能を用いた設定日数や診療内容の経営的分析、アウトカム・バリアンス集計からの課題など、問題点の抽出と具体的提案を行った。

 この結果、パス数は2013年4月時点94種類から2020年4月時点130種類に増加。適用率は2013年度43.2%から2019年度49.0%に増加。分析提案により改定したパスは2013年7月~2020年4月で全体の約50%となった。

 現場の負担が大きく軽減し、多職種での円滑なパス作成や改善が可能となり、PDCAサイクルの仕組みを運用できた。今後は、さらなる質向上に向けて教育の充実が課題と考える。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本クリニカルパス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top