2004 年 5 巻 3 号 p. 531-537
4つの急性期病院で、平成12年から14年までに人工骨頭置換術を施行した患者の患者属性、医療経過、アウトカムデータを収集し、平成14年の診療報酬改定前後で比較検討した。4病院のうちの2病院は平成12年以前から当該術式に対しクリニカルパスを使用しており、残りの2病院は平成14年にクリニカルパスを使用し始めた。
その結果、4病院すべてで平成14年に在院日数が短縮し、特に平成12,13年に在院日数が長かった病院ほど顕著だった。その一方で、患者の退院時の歩行能力・自宅退院率ともに低下しており、在院日数短縮を推進する診療報酬改定、および現在のクリニカルパスではかならずしも歩行能力の回復や長期的な費用対効果の向上に寄与していないことがわかった。
しかし一入院あたりの総診療報酬点数は、平成14年の診療報酬改定前後で著変なかったが、リハビリテーションの診療報酬点数も2病院で増加していた。これは、クリニカルパスによる医療ケアの標準化が図られた結果、合併症が減り、早期のリハビリ介入が行えたことに関連していると考えられる。