市立岸和田市民病院外科病棟では1998年10月よりクリニカルパス(以下パス)を導入し、その成果について報告してきた。しかし、バリアンスに関しては、報告が確実にされていないこと、変動や逸脱についての記載が無いことが多かった。このことはバリアンスに対する認識の甘さ、しいてはパスに取り組む姿勢の甘さを示すものであり、画一化した現状を象徴するものであった。
今回、我々は胃癌、大腸癌の術後患者症例でその経過中に、創傷治癒、栄養管理面からアウトカムとなりうる、術後ドレーン抜去、抜糸、経口摂取開始と術後在院日数との相関について検討した。抜糸とドレーン抜去に関しては合併症症例を除き、ほぼ設定された期日に行われていた。しかし、経口摂取開始の遅れに関しては明らかな理由が無く患者側の要因よりむしろ指示の遅れ、認識不足、説明不足などの医療従事者側の要因で経口摂取開始が遅れたケースが多く見られた。
そして、経ロ摂取開始の遅れが術後在院日数の遅れに繋がること、経口摂取開始後のバリアンスでは消化器症状によるものが多いことが判明した。
今回の結果をふまえ、全治療過程に経口摂取開始を含めいくつかのアウトカムを設定しそれを評価し、これらの蓄積したデータを定期的に検討しパスを改訂していくことで、パスの標準化を目指していきたい。
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