日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
クリニカルパス活動におけるベンチマーキングの経験
―消化器外科パスにおいて―
池谷 俊郎前田 陽子前島 和俊合田 司森村 匡志長沼 篤小山 透矢嶋 美恵子小沢 初美金子 京子中井 正江立川 厚子伊佐野 和代久保田 利夫蛭川 ふさ子鈴木 栄菊地 弘樹
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2004 年 5 巻 3 号 p. 547-551

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抄録

 平成11年クリニカルパスを本格的に導入後、これまで様々な試みを行ってきた。一般企業が質の改善に用いている「ベンチマーキング」手法が、医療の質の改善にも有効な手法であることを知り、この手法を学習してクリニカルパス(以下パス)を改善しつつパートナーを求めた。平成13年に国内では腹腔鏡下胆嚢摘出術、米国では開腹結腸手術のパスによるベンチマーキングを経験した。

 まずベンチマーキング施行前に、対象疾患、適応基準、治療目標の設定が準備として必須であった。施行後、施設により治療目標(アウトカム)の設定に差があり、自施設のみでは気づかない点を指摘し合えた。また、質の向上には概念的な治療方針からEBM(evidence based medicine)を重視したアウトカムの設定が重要であることを認識できた。

 面談形式の検討では時間的な問題があるものの、ベンチマーキングは医療の質を改善するうえで有効な手法である。今後はこの時間的な欠点を補えるITシステムでの普及が望まれる。

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© 2004 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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