日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
糖尿病教育入院クリニカルパスのバリアンス分析
―コンピューターソフト連結応用の試み―
石原 隆孫 徹岩倉 敏夫小林 宏正迎 とく子西岡 道代河田 妙子倉八 博之
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2004 年 5 巻 3 号 p. 565-570

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抄録

 糖尿病教育入院に使用しているクリニカルパスのバリアンスについて、File Maker、Excel、Stat viewと3つのコンピューターソフトを連結して分析を試みた。対象者86例での検討の結果、逸脱群10例(11.6%)、延期群19例(22.1%)戻り群16例(18.6%)、「なし」群41例(47.7%)であった。バリアンスの原因は、患者および家族の問題が45例中40例と大部分であり、医療チームの問題が5例であった。逸脱群は、高齢者で、罹病期間が長く、血糖コントロールが不良で、三大合併症や大血管障害などの併発症を高率に有していた。長期にわたる綿密な指導には耐えがたく、家族を中心に要点だけを指導するポイント指導のパスが必要と考えられた。延期群は入院回数が多く、自宅での血糖コントロールが困難な患者が多かった。

 本検討ではコンピューターに多くの成績を入力することにより、更に詳細な分析が短時間で可能であった。今後クリニカルパスに基づく糖尿病教育入院の症例が更に増加する事は明らかであり、バリアンスに対応できるプログラムの確立が必須と考えられる。

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© 2004 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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