2004 年 5 巻 3 号 p. 571-575
われわれは1999年1月から人工股関節置換術に対してクリニカルパスを実施し、これまでリハビリテーションメニューの変更、チャートの改良などの改良を行ってきた。今回、「術後4週で入院時のレベル以上で歩行でき、自宅で自立した日常生活が行える程度の活動性を獲得して自宅へ退院できる」というアウトカムの設定は妥当であったのかについて検討した。対象は初回人工股関節置換術を受けた40例、40関節であり、クリニカルパス改良前後で①期、②期の2群に分けた。バリアンスとしては車椅子移動の開始が遅れたものが、①期では1例、②期では2例であり、歩行開始日が遅れたものが、①期では1例、②期では8例であった。手術日から退院までに要した日数は、①期では平均42.4日、②期では平均34.8日であった。入院時以上の歩行レベルまで回復できなった事例は①期の2例のみで、①期の1例を除いて全例で自宅退院を果たした。従って、現在使用している②期のクリニカルパスでは全例自宅退院を果たし、1ほぼ目標としている日に設定したアウトカムが獲得できており、われわれの設定したアウトカムは妥当であると考えられた。しかし、わずかながら退院予定日とのずれを認めることから、クリニカルパスをより現実に近いものに改良して、患者の理解を容易にし、設定したアウトカムにさらに早期に到達できて無理のない退院につなげていきたいと考えている。