2006 年 8 巻 2 号 p. 117-124
当院のクリニカルパスは、オールインワンパスの形式で、過去のデータの標準化を行って作成している。そして、どのような項目を日々の達成目標(アウトカム)にするか、日々の行為に入れるのかを決めるのに、アウトカム設定シートを開発した。アウトカム設定シートは6種類の用紙からなる。まず、病態から考えて入院時に持っているであろう問題点を考え、それを達成目標の表現に置き換える。そして、それぞれの達成目標に対して、基準、基準を判断するためにすること、この目標達成以前に達成されているべきこと、達成するために行うこと、この目標で発生する問題を検討する。そこから新たな達成目標を導き出し、その達成目標に対しても同様の検討を繰り返す。こうして得られた達成目標と基準を判断するためにすることに対して、過去のカルテからデータを収集して標準化する。その結果を時系列に並べて、オーバービューシートが完成する。この考え方を、入院時患者問題解決型アウトカム思考と呼んでいる。このシートを使用して、片側人工膝関節全置換術のクリニカルパスを作成した。達成目標として挙げられたものは231項目、判断するためにすることは172項目、これらの項目以外にクリニカルパス作成に必要と考えたものが72項目あり、計475項目のデータを収集、標準化した。