日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
原著
小切開前立腺全摘除術におけるクリニカルパスの導入
相原 衣江川村 研二松田 紗矢香井上 由紀子山野 朋江田渕 順子清水 由美子森田 展代近澤 逸平森山 学宮澤 克人田中 達朗鈴木 孝治
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2006 年 8 巻 2 号 p. 125-132

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抄録

【目的】前立腺癌は近年増加傾向にあり、前立腺全摘除術がその標準治療のひとつとされている。今回、小切開前立腺全摘除術を標準化する目的でクリニカルパスを導入したので報告する。

【対象と方法】対象は,早期前立腺癌に対して前立腺全摘除術を施行した20例である。治療の標準化として歩行と食事の開始、尿道カテーテル抜去、退院日等のアウトカムを定めた。また、患者のアンケート調査を行い、満足度の調査を行った。

【結果】このアウトカム志向のクリニカルパスを使用した時の達成率は、術後2日目に歩行可:90%、術後7日以内に尿道カテーテル抜去可能:85%、術後10日以内に退院:85%であった。3人の患者は退院が延期となったが、その理由は、尿閉、創感染、膀胱尿道吻合不全であった。尿失禁は術後1ヵ月で徐々に改善し、パッドを使用していないと定義した時、術後3ヵ月で88.9%の患者のパッドが不要となった。アンケート調査では、90%の患者が今回の手術と入院治療に満足であると回答した。

【結論】クリニカルパスは患者により良いサービスと質の高い医療を提供するために必要なツールであり、歩行と食事の開始、尿道カテーテルを抜去する日、退院日などを定めたアウトカム志向のパスを作成し、アウトカムの達成率を検討する必要があると考えた。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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