日本クリニカルパス学会誌
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Print ISSN : 2187-6592
実践報告
手術室におけるクリ二カルパスの導入と改訂過程の検証
辻本 博明宇野 喜代美山中 英治
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2006 年 8 巻 2 号 p. 141-145

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抄録

 当院手術室では、平成14年5月からクリニカルパス(以下パス)を導入した。最初に作成したパスは、「開腹手術パス」で、以前に使用していた術中記録に必要な項目を追加しただけのものであり、アウトカムの設定は行わなかった。

 しかし、手術室にとって「患者の安全」「滅菌物や器械の運用」などについてのアウトカム設定が必要と考えたため、平成15年4月にアウトカムの設定を行い、同時にフォーマットも変更した。

 次に病棟と手術室との情報の共有化を目的に、術中期を含む周手術期パス(以下スルーパス)を作成した。スルーパスにより、情報の共有化ができただけでなく、記録の重複がなく、総合的な治療経過の把握と記載が可能な包括されたパスとなった。

 アウトカム設定と同時に、バリアンス記載を開始したが「手術室で発生するバリアンスに該当するコードがない」などの原因で記載がすすまなかった。そのため、手術室独自のバリアンス項目とバリアンスコードの設定を行った。設定は安全管理に重点をおき、クリティカルインディーターを網羅し、バリアンス発生時期をコードで判別できるように工夫した。平成16年5月には「全身麻酔パス」「脊椎くも膜下麻酔パス」を追加し、全手術症例でパスを適応することができた。以上の経緯についての検証をした。パスは導入当初の目的を達成し、バリアンス分析によりパスの改訂・安全についてのマニュアルの改訂ができるシステムが整った。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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