日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
PEGクリニカルパスの改良
―NSTの役割―
伊東 七奈子原嶋 幸子小川 哲史加藤 潤子大友 崇立川 厚子前島 和俊飯塚 春尚小野里 康博前田 陽子牧野 協子田中 俊行池谷 俊郎
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2006 年 8 巻 2 号 p. 135-140

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抄録

 今回、NSTによる栄養ケアマネジメントを組み入れたアウトカム志向のPEG導入時パスを作成し、そのバリアンス分析を行った。2003年7月より2004年8月までにパスを使用した症例は、44例であった。年齢は16~93歳(平均:74)で、男性が18例、女性が26例であった。基礎疾患は、脳血管障害が36例と最も多かった。バリアンスを除く症例では、全例、中間アウトカムと最終アウトカムを達成することができた。バリアンスは44例中6例(13%)に認めた。内訳は、機械的合併症が4例、消化器合併症が2例であった。代謝性合併症やその他のバリアンスはなかった。機械的合併症のうち、軽度の誤嚥性肺炎を認めた2例は、経腸栄養剤の半固形化と、PEGを利用した空腸痩への変更でそれぞれ軽快した。PEG留置部から出血した1例は、静脈性のoozingを認め、緊急内視鏡で止血しえた。自己抜去の1例は、同日再挿入しえた。消化器合併症の2例は腹部膨満で、いずれも腸蠕動促進剤の投与で改善し軽快した。6例ともパス脱落例はなく、全例経腸栄養を継続することができた。

 NSTによる栄養ケアマネジメントをパスに組み込み、各々、具体的な合併症をアウトカムに設定したことで、抗菌薬の適正投与や、適切な栄養療法の実施と評価が標準化された。その結果合併症の予防や早期発見が容易となり、バリアンスに対する適切な対処が可能となった。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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