日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
実践報告
幽門側胃切除術クリニカルパスの改良
治療説明用冊子の導入効果とオールインワンパスの採用
田村 茂行三木 宏文於保 千恵子久下 景子
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2007 年 9 巻 2 号 p. 161-168

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抄録

 医療従事者と患者の理解と満足の得られるパス運用をめざして、胃癌治療の説明用冊子(以下冊子)と幽門側切除術のオールインワンパスを導入したので、その効果について報告する。【方法】2003年9月に胃癌治療ガイドラインやパス、術後食事指導を掲載した冊子を作成した。この冊子を用いて外来で病状の説明とともに術後の経過についても十分説明した。冊子導入前の30例と導入後の46例の術後在院日数を比較検討した。また2004年症例71例の退院遅延の原因について調べ、その結果をもとに幽門側胃切除術のオールインワンパスを作成した。【結果】冊子の導入により、術後在院日数14日のパスで10%に認められていた患者希望による退院遅延は減少し、逆に43%で早期退院となった。2004年の71例では術後平均在院日数は13.9日で、64.8%の症例で術後12日までに退院していた。オールインワンパスでは術後10~12日で退院としたが、パスを使用した33例の平均は11.7日であった。また、看護記録時間はオールインワンパスの導入により短縮された。【結論】外来での冊子を用いた十分なインフォームドコンセントとオールインワンパスの導入により、効率的なパス運用が可能となった。

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© 2007 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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