2020 年 45 巻 p. 27-45
本論文は,日本における,社会調査に基づくコミュニティと犯罪に関する実証研究の現状と課題を議論することを目的とした.まず,アメリカ,オーストラリア,中国,韓国の6都市におけるコミュニティと犯罪研究を,サンプリング,背景理論,方法論からレビューした.次に日本における1970年以降の実証研究23調査を同じようにコーディングした.さらに,著者は,調査の規模,調査デザインの質,分析方法の脆弱性を指摘して,改善点を指摘した.最後に展望として,犯罪オープンデータ,警察機関と大学研究者とのコラボレーションについて言及した.