日本障害者歯科学会雑誌
Online ISSN : 2188-9708
Print ISSN : 0913-1663
ISSN-L : 0913-1663
原著
非経口摂取の要介護高齢者に対するスポンジブラシを用いた口腔ケアが自律神経活動に及ぼす影響
有川 英里木村 貴之園木 一男藤井 航日髙 勝美柿木 保明
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 37 巻 4 号 p. 407-413

詳細
抄録

日常臨床で行われているスポンジブラシを用いた口腔粘膜の清拭(以下,清拭)が,非経口摂取の要介護高齢者における自律神経活動に及ぼす影響を明らかにするために,心拍変動の周波数解析(以下,HRV解析)を用いて検討した.

対象は,特別養護老人ホームに入所中の非経口摂取の要介護高齢者12名(以下,要介護群),地域の自立高齢者13名(以下,自立群)とした.

心拍変動の測定ならびに記録にはメモリー心拍計を用いた.清拭開始1分前から心拍変動の測定を開始した.清拭は常温の水道水とスポンジブラシを用いて,同一の歯科衛生士が5分間行い,終了と同時に心拍変動の測定も終了した.計測後,オフラインで最大エントロピー法(以下,MEM法)によるHRV解析を行った.

その結果,要介護群においては清拭前に比較してLF/HFの有意な増加が認められた.しかしながら,LF/HF上昇を従属変数とし,要介護,年齢,性別,脳血管障害,心疾患,高血圧症を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析では,要介護を含むすべての変数で有意な関連は認められなかった.清拭によるLF/HF上昇は,今回測定した変数以外の要因により引き起こされた可能性が考えられるが,今後のさらなる検討が必要である.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本障害者歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top