日本障害者歯科学会雑誌
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原著
特別支援学校(知的障害)の教員からみた児童・生徒の食べ方の問題点
藤井 美樹野村 佳世杉本 恵里堀部 森崇名和 弘幸野村 繁雄福田 理
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2018 年 39 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

食べる機能は学習により獲得されていくものであり,障害のある子どもはさまざまな要因により摂食・嚥下機能の障害を認めることが多い.そのため,口腔機能の発達を促すには個々の発達に応じた対応が必要と考えられる.そこで本研究は,特別支援学校の教員が給食場面で感じている知的障害のある児童・生徒の食べ方の問題点を抽出し,支援方法を検討することを目的とした.

特別支援学校の教員56名を対象に,児童・生徒の食べ方で気になる項目について調査を行い,記載された内容を24項目に分類した.

食べ方で気になることが「ある」と回答した教員は小学部96%,中学部85%,高等部80%で有意差は認められなかった.また,3学部の教員が児童・生徒の咀嚼や食べ方に問題があるとした項目数は,小学部では多く高等部では少なかった.教員が児童・生徒の食べ方で問題点として捉えた項目は多い順に,小学部「嚙まない」「口に物をためる」,中学部「丸飲み」「嚙まない」,高等部「丸飲み」「早食い」であった.また24項目中,学部間でどの項目が効いているかロジスティック回帰分析を行ったところ,「嚙まない」は低学年に属する可能性が高かった(p<0.05).

「嚙まない」「丸飲み」などの問題は小学部から高等部まで認められるために,窒息,誤嚥のリスクの低減のためにも早期からの計画的な教育・支援の必要性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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